・side紫 ページ6
艶々に熟れている赤を見て、乾いた唇を舐めた。
参ったな。
俺ってこんな気持ちになれるんだって
30にもなって気づくなんて。
深澤「なんか買って帰んの?」
『うん。2パックと⋯⋯イチゴ100%ジュース』
それさえ聞いたら俺のもの。
直売所に向かうAを自然と追いかける。
深澤「これでお願いします」
『え、悪いよ、そんな、』
深澤「いいからいいから」
紺と白の長財布を取り出す隙も与えずに支払えば
『ありがとう』と答えたA。
耳元には俺がプレゼントしたイヤリングが揺れていて
何とも言えない優越感に浸る。
深澤「にしても2パックも?そんなイチゴ好きだっけ」
『普通に好きだし、1パックは佐久間くんにあげるの。最近はゆきまるのお世話してくれてるから。たまに夕飯作ってくれてたりして助かるんだよね』
深澤「ゆ、うはん?佐久間が?Aの?」
『うん。昨日もお世話ついでにウチで親子丼作ってくれた。凄いよね、冷めてても美味しいんだよ。感動しちゃうもん』
深澤「⋯⋯随分佐久間と仲良いね」
あ、やべ。
思いの外拗ねたような声色が出てしまって、
慌てて口を閉ざす。
Aはそんな俺に気づきもせず『佐久間くんはみんなと仲良いじゃん』と言葉を続けている。
佐久間ァ。。
深澤「自炊⋯⋯するか、」
『ふっかさんの塩味の強いスクランブルエッグも悪くなかったけどね。卵焼きも甘めよりしょっぱめの方が好きだし私は』
深澤「しょっぱめの卵焼き極めるわ俺」
『んははっ!!』
手のひらでコロコロと。
今はまだ、転がっていてあげてるだけ。
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小袖(プロフ) - 紅二点、二人とも幸せな形で落ち着いてくれれば良いなと親目線で見ています。お話の続き楽しみにしてます! (3月17日 20時) (レス) @page2 id: 85c8a13628 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シナモ | 作成日時:2024年3月14日 18時